【パリの国連で夢を食う】の感想です。
パリの国連で働いていた時のことを綴ったエッセイです。
タイトルだけを見ると、「国連」というお堅い国際機関の話で、難しくて理解できないのでは……と思うかもしれませんが、まったくそんなことはありません。
エッセイ形式なので非常に読みやすく、登場人物たちがまるでドラマのキャラクターのように個性的で愉快。
アメリカのホームドラマでも見ているのかな、と思うくらいクセの強い人たちばかりです。
ワールドワイドな環境になると、やっぱり面白い人の割合も増えるのでしょうか。それとも、優秀な人にはユーモアが必須なのかも。
とにかく、「面白い」の一言に尽きるので、ぜひ読んでほしい一冊です!
作者・川内有緒さんが国連へ転職するまでの経緯もさることながら、働き始めてからの日々の出来事が本当に面白い。
煌びやかなイメージのパリと、ぼろい建物の国連(海から引き上げられた戦艦大和にたとえられていました笑)。
さまざまな人種が働く職場では労働階級が明確で、意外とシビア。
ザ・お役所といえるような遠回りな仕組みなど、決して最先端とはいえない内部事情もユーモラスに描かれています。
すべての原動力は、有緒さんの行動力だと思います。本当にパワフル。
留学を決意したことも、国連に応募したことも、パリで生活を築いていくことも、適応力の高さがあってこそでしょう。
なにせ車の免許を4時間で取得したらしいので。すごすぎませんか。
面白エピソードのひとつが、パリの住宅事情。
最初は空き店舗のような場所で寝泊まりすることになり、必死で住まい探しを始めるのですが、これが本当に大変らしい。
狭いパリに人が密集しているため、良い部屋はすぐ埋まってしまい、残っているのはクセのある物件ばかり。
同僚の助けを借りながら書類を準備し、内見、内見、また内見。
果たして住みやすい部屋は見つかるのか――と、思わず続きが気になってしまいます。
福利厚生はしっかりしているようで、有給休暇も充実。
多国籍な職場ゆえ、宗教に合わせて勤務時間が調整されることもあるそうです。
さらに、日々さまざまなイベントが開催されているらしく、お昼休みにサンバ隊が来たこともあるとか。
……なんだそれ。絶対ぽかんとしちゃう。
奇想天外な出来事だけでなく、少し感傷的な場面が描かれるのも本書の魅力です。
パリへ来る人もいれば、去っていく人もいる。
夢を追うためだったり、道半ばだったり。
国連の職員、不法滞在者が暮らす「スクワット」の人々、遠い国から夢を抱いてパリに来た人たち。
さまざまな人生が交差していて、まるでドラマを見ているような感覚になります。
むしろ、下手なドラマよりずっとドラマティックな人生なのかもしれません。
高尚で遠い存在だと思っていた国連が、ぐっと身近に感じられた一冊でした。
いい意味で「お祭り」のような、多様な人が集まる場所なのだと認識を改めるきっかけにもなりました。
同じ著者の作品に『パリでメシを食う』があります。
パリで働く日本人へのインタビューをまとめた本で、こちらもとても面白いので、気になった方はぜひ読んでみてください。


コメント